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扇子の歴史 2016年03月12日
  • 扇子のこと

扇の語源ですが、中国の書「説文(せつもん)」によると、「扇は扉だ」と記され、トビラと読んだそうです。解字してみますと、「戸」と「羽」を合わせた文字で、なるほど戸が羽根のように動き、故にあおいで風を起こす道具ということになります。

つぎに、いつごろ扇ができたか―諸説粉々ですが、平安時代前期にはすでに、現代の扇のようなものが存在していたと思われます。

その後扇子は、室町時代(1336-1573)に大衆化し、江戸時代(1600-1868)に能や茶道などの芸術を通して、社会的・世俗的なものから宗教的なものにまで、様々な分野において大きな飛躍をとげたといわれております。

扇子は大別すると3種類になります。まず、古くからある檜板を綴った「檜扇(ひおうぎ)」があります。板にいろいろな絵をつけたものなどもあり、主に宮中の儀式用に使われていました。

その後、2番目の「紙扇(かみせん)」ができました。「藍嚢鈔(あいのうしょう)」という本に、「扇は日本にて造り始めるなり。こうもりを見て作ると云う。故にその形、こうもりの羽に似たるなり。これをもって扇を蝙蝠(かわほり)という」と記してあります。この蝙蝠とは紙扇のこと、今使われている扇の原型です。

3番目は「絹扇(きぬせん)」です。スペインで踊り子が使っている扇は絹を貼って、その上に派手な絵が描いてあります。それらを絹扇と呼びました。絹扇は檜扇や紙扇に比べて、かなり後に生みだされました。

現在、絹扇も紙扇と並んでたくさんの種類があります。最近は、絹以外の生地も使われていることから、生地扇とも呼ばれています。

 

 

末広がり

扇または扇子の事を昔から末広とも言います。

それは開いた時に先端すなわち末の方が広がることから繁栄を意味して縁起がよいことにつながるからです。とりわけ御祝儀として扇を贈り物にする風習は室町時代に起こったもので、以後現在に及んでいます。結婚や長寿をはじめ、あらゆるお祝い事に、記念品として用いられています。

また、外国人にも人気があり、海外へのお土産など、広く世界中に愛されています。