京都の節分は個性派ぞろい?ユニークな節分祭を紹介します
こんにちは、京扇子の白竹堂です。享保3年、1718年から京都で扇子屋を営んでおります。
さて、1月ももう終わります。2月に入るとやってくるのが、節分です。
京都の寺社仏閣でもさまざまな節分祭が行われ、多くの参拝客で賑わいます。中には非常にユニークなものがあって、面白いですよ。
今回は、個性的な京都の節分祭の中から特におすすめのものを紹介します。節分のお出かけの参考にしていただければ嬉しく思います。
京都の節分祭と言えばここ!豪華くじ引きも見逃せない、吉田神社
京都の節分祭の中でも特に有名な神社のひとつといえば、吉田神社の節分祭ではないでしょうか。
吉田神社の節分祭は、今年は2月2日から4日まで行われます。
クライマックスは2日の夜に行われる追儺式(ついなしき)。全国から多くの参拝客が訪れ、さほど広くない境内に人があふれかえります。吉田神社の公式サイトによると、参拝客の数は例年約50万人にのぼるのだとか。
ここ数年はコロナ禍ということもあり規模を縮小していましたが、今年は例年通りの規模で行われるとのことで、注目されています。
追儺式の特徴は、包相氏(ほうそうし)と呼ばれる四つ目の神様や陰陽師、殿上人などが登場すること。宮中で行われていた追儺式を古式に則って再現したものだそうで、古式ゆかしい雰囲気が漂います。
また、少々これは俗っぽいお話なのですが……
吉田神社の節分祭では抽選券付き福豆が販売されます。節分祭での福引きはさまざまな神社仏閣で行われるのですが、吉田神社はこの賞品が京都でも屈指の豪華さを誇ります。
2023年はお菓子や清酒から、普通自動車、旅行券10万円、小型ドローン、空気清浄機などさまざまなものが賞品として用意されています。公式サイトに一覧があるので、興味がある方は公式サイトをチェックしてみてはいかがでしょうか。
平安貴族謹製、美人になれるラブレター! 須賀神社
聖護院にある須賀神社は、あまり有名な神社ではないかもしれません。しかし、ユニークさという点では見逃せない神社のひとつ。
須賀神社の節分祭で有名なのは「懸想文売り(けそうぶみうり)」。
懸想文というのは、昔でいうところのラブレターです。江戸時代に、文章が書けない庶民の代わりに貴族が、今でいうところの副業、お小遣い稼ぎ的な仕事としてラブレターを書いて売っていたことが起源になっています。
なお、懸想文売りは顔を布でぐるぐる巻いて、顔を隠しています。これは、貴族が副業するのははしたないため、どこの誰かわからないようにしていたからだそう。昔の貴族も、いろいろ大変だったのですね。
令和になった今、もちろん須賀神社の懸想文売りは書くのも売るのも貴族ではありません。懸想文を買う人も、ラブレターの代筆として買っているわけではありません。
ではこの懸想文は何かというと、これは一種の縁起物やお守り。縁結び、美人になれる、タンスに入れておけば着物が増える、といいった御利益があるそうです。着物が増えるというのはつまり「服=福が増える」につながりそうだな、なんてことも個人的に考えています。
本場の石見神楽が楽しめる松尾の大社、一大鬼退治ショーが楽しめる藤森神社
このほか、注目したいのは松尾大社と藤森神社。
松尾大社での注目は、お神楽の奉納。お神楽といっても、普通のお神楽ではありません。島根県益田市の「石見神楽」が奉納されるのです。
しかも、わざわざ島根県から演者の方々がやってきますので、京都にいながら本場の石見神楽が楽しめるというのがポイント。特に八岐大蛇を須佐之男命が退治する場面は迫力たっぷり。どんどんどんと叩かれる太鼓に合わせてくるくる回る龍、それを断ち斬る須佐之男命。これは一見の価値ありですよ。
迫力たっぷりというと忘れてはいけないのが藤森神社。2月3日夜の追儺式は、例年非常に派手な演出で行われます。鬼が登場するときはスモークがたかれるわ非常に明るくライトアップされているわで、まるでプロレスの悪役レスラー登場シーンのよう。
追儺でも神職さんが臨場感たっぷりにアナウンスしてくれたりと、これはもはや神事というよりショーでは?と思うほどで、おそらくエンターテインメント性としては京都、いや、もしかしたら日本随一の節分祭ではないかと思います。
このように、個性豊かな京都の節分祭。今年はコロナ禍前に近い規模で開催を予定しているところも多くあります。ぜひ、感染症対策に気をつけつつ、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
※アイキャッチに使用した写真は、廬山寺の節分祭の様子です