京都に桜の季節がやってきました(満開編)
こんにちは、京扇子の白竹堂です。享保3年、1718年から京都で扇子屋を営んでおります。
前回、京都では早咲きの桜が咲き始めていますという話をしました。そのときに、京都の開花宣言は3月21日前後というお話をしたかと思います。
申し訳ありません。あのあと、予想以上に早くソメイヨシノが開花。さらに満開宣言まで出てしまいました……
京都の桜の開花宣言は3月17日、そして満開宣言は3月24日。開花宣言は平年より9日、満開宣言は平年より11日も早いペースです。満開宣言にいたっては、1953年に統計を取り始めて以来最速だそうで「そんなに焦って咲かなくてもいいんですよ」と桜に言いたくなります。
さらに京都では、満開宣言後あいにくの雨が続きました。これでは散るのも早くなりそうと、雨の中ではありますが、慌てて東山周辺の桜を見に行ってきました。今回はその様子を少し、写真を交えてご紹介します。
祇園白川の桜
まずは定番の、祇園白川周辺の桜を紹介しましょう。祇園白川は、鴨川に流れ込む小川「白川」沿いに伸びる短い道。なお、京都には「白川通」という名前の通りもありますが、これはまったく違う場所にあるのでご注意ください。
短い道ですが、石畳の道、小さなお社、風情ある橋や石碑など、京都らしさがぎゅっと濃縮された場所です。そのため、観光客にも人気。訪れた日も、雨にもかかわらず多くの観光客の方々が桜を楽しんでいました。特に写真の桜並木のあたりは、どうやっても人が映り込みます。
祇園白川でとくに有名なのは、巽橋という小さな橋の付近でしょう。
ここには「辰巳大明神」という小さなお社があります。辰巳大明神は、その名前の通り京都御所から見て辰巳(たつみ=南東)の方向にある神社。祇園商店街振興組合のホームページによると、辰巳の「たつ」が上達の「たつ」にかけて、舞妓さん、芸妓さんからの信仰を集めているのだそうです。
京都を代表する桜のスポットのひとつでもあり、この日も小さなお社に入れ替わり立ち替わり参拝者が訪れ、手を合わせていました。残念なことに舞妓さんなどには会えなかったのですが、近くを散策していると4月1日から始まる「都をどり」の提灯があちこちの店先にかけられていて、花街らしい華やかさを感じられました。
京都の桜のシンボル、祇園枝垂桜
京都の桜を語る上で忘れてはいけないのが円山公園のしだれ桜です。「祇園枝垂桜」という、非常にストレートな名前で愛されている、京都を象徴する桜の1本です。非常に人気もあって、この日も入れ替わり立ち替わり多くの花見客の方が記念写真を撮っていました。一瞬誰もフレームに入らない瞬間があったので素早く撮影。運が良かったなと思います。
このしだれ桜は2代目の木です。一時期かなり木の勢いが弱くなり、3代目への植え替えが必要なのかもという話もあったのですが、桜守さんたちの努力のおかげで今は再び華やかに咲く元気さを取り戻しました。
初代は江戸時代から、明治、大正、昭和を生きた、樹齢約200年ほどと言われた長寿の木でした。2代目はまだ樹齢100年すら迎えていません。まだまだ元気で、いつまでも美しい花を咲かせてほしい木です。
円山公園は、四条通の東の突き当たりにある八坂神社の中を通り抜けて行きます。この時期は花見客が非常に多く、それをあてこんでか八坂神社の中や円山公園の中には屋台も多く出ています。コロナ禍前は、宴会を開いている人たちも多く見かけました。
新型コロナウイルス感染症に関連するさまざまな規制が緩くなっている2023年春。京都はかつての賑わいを少し取り戻しつつあります。今年のお花見の時期はあっという間に過ぎてしまいそうですが、来年はもう少しゆっくり楽しめるように、季節が移り変わっていってほしいものですね。