華やかさいっぱい!7年ぶりの祇園の春
こんにちは、京扇子の白竹堂です。享保3年、1718年から京都で扇子屋を営んでおります。
ここ数回、桜や山吹などの京都の春の様子について紹介してきました。今回は、祇園が7年ぶりに迎えた華やかな春の風物詩「都をどり」について紹介いたします。
7年ぶりの歌舞練場、3年ぶりの開催
都をどりは、京都の中でも最大規模の花街、祇園甲部が主催する踊りの会です。祇園甲部に所属する舞妓と芸妓が総出で、日頃のお稽古で磨き上げてきた踊りや音楽の腕前を披露する会で、数十人の舞妓さんが華やかな衣装を身にまとい踊る様子はとても華やかで艶やか。ただただ、美しさにため息をつくばかりです。
例年4月1日から30日まで行われているのですが、令和2年、3年は新型コロナウイルス感染症の流行により休演になっていました。今年は平成30(2019)年以来3年ぶりの開催です。
さらに、今年の「都をどり」を特別にしている理由がもうひとつあります。それは、会場の問題です。
「都をどり」の会場は祇園甲部の歌舞練場です。しかし歌舞練場は、平成28(2016)年から耐震化工事のために休館していました。その間、都をどりは京都劇場や南座などいつもと違う場所での開催を余儀なくされていたのです。
しかし、今年は耐震化工事が無事終わり、祇園甲部の歌舞練場での開催が実現。実に7年ぶりに祇園甲部歌舞練場に「都をどり」が帰ってきた、というわけなのです。
そのためでしょうか、歌舞練場周辺は、いつも以上に華やいだ雰囲気が漂っていました。歌舞練場に続く花見小路にも、大きな看板が立てられています。歌舞練場に向かう舞妓さんや芸妓さんの姿もちらほら見かけました。
「都をどり」の歴史
「都をどり」が始まったのは明治5(1872)年です。
この年、京都では「京都博覧会」という日本初の博覧会が行われました。会場となったのは、西本願寺、建仁寺、知恩院。このとき京都博覧会の附博覧(つけはくらん)として祇園で開催された「鴨東花街ノ歌舞」が人気を博し、定期的に開催されるようになったのが「都をどり」です。
「鴨東花街ノ歌舞」は、松の屋という貸席、つまりお座敷で開かれたそうです。舞妓や芸妓がそろって披露した歌舞は大好評。それ以来、毎年春に開催されるようになり、いつの間にかすっかり京都の春の風物詩として定着したのでした。
平成13(2001)年には、当時の皇太子殿下、今の天皇陛下が都をどりをご覧になったこともあるそうです。
毎年この時期になると、祇園甲部のお茶屋さんや置屋さんの軒先には「都をどり」の提灯がぶら下がります。そしてそれを眺めながら「ああ、今年も春が来たなあ」と地元の人たちは心を浮き立たせ、「さあ、いつ見に行こうか?」とカレンダーを眺めるのです。
舞妓・芸妓さんの舞台を見られる機会は、これからも続きます
なお、「都をどり」は例年4月1日から30日までの公演です。そのため、このブログが公開されるころにはもう今年の上演は終わっているでしょう。しかし、「都をどり」が終わると今度は5月1日から24日まで、同じく京都を代表する花街・先斗町の「鴨川おどり」が先斗町の歌舞練場で上演されます。
また、6月には南座で、京都の五花街合同公演「都の賑わい」も上演予定。京都の花街や舞妓さん、芸妓さんの芸を鑑賞できる舞台がこれからも続きます。ぜひお時間等の都合がつけば、一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。