4年ぶりに開催される、車折神社の祭礼「三船祭」
こんにちは、京扇子の白竹堂です。享保3年、1718年から京都で扇子屋を営んでおります。
立夏も過ぎ、夏が近づいてきていますね。
この時期の京都の雅な催しに「三船祭」があります。コロナ禍でしばらく自粛されていましたが、4年ぶりに、今年は開催されることになりました。
「三船祭」とは
芸能の神様でも有名な、右京区「車折神社」の例祭の延長神事で、平安時代の船遊びを再現するお祭りです。毎年、5月に嵐山・渡月橋上流の大堰川で行われます。
白川天皇が行幸の際、和歌・漢詩・奏楽のそれぞれに長けた者を3隻の船に乗せて船遊びをしたことから、その名前がつけられました。
昭和3年(1928年)に昭和天皇の即位式である御大典を記念し、宇多上皇が大堰川で和歌や管弦、舞楽などで船遊びを行ったことから始まったとされています。
お祭りのハイライトは、着物姿の女性が川に扇を流す「扇流し」。この行事は、室町幕府の初代将軍・足利尊氏が嵐山・天龍寺に参詣したときのできごとに由来します。お供の童子が誤って扇を川に落としてしまったのですが、尊氏は童子を怒らず、川面に流れる扇を優美だと喜んだといいます。
川面を流れる100以上の美しい扇
今年の「扇流し」では、100以上の扇が流されるそうです。
川上から流れてくる扇を受け取ると、芸術の上達や無病息災などのご利益があるといわれています。ご利益をいただくため、扇を受け取ろうと川岸で待つ人も多いのだとか。
船上から着物姿の女性たちが扇子を川面に浮かべて流す様は、まさに平安絵巻から抜け出たような優雅さです。
車折神社の境内にある「芸能神社」は、芸能や芸術の上達にご利益があるとされ、芸能人や文化人が数多く参拝に訪れることでも有名です。今年4月には、車折神社の外郭団体として文化活動などの発展を目指す「芸能文化振興会」が設立されました。
ともなって今年の「三船祭」は「芸能文化振興会」との共同開催となり、神事内容も一新されます。
今年は、扇流しはもちろん、船上で管弦楽や詩歌、舞楽などの伝統芸能が披露されます。
新緑が美しい嵐山の景色とともに、平安王朝を思わせる優美な船遊びを見に、ぜひ三船祭へ訪れてみてください。